『Clean Coder プロフェッショナルプログラマへの道』を読んで
この本は、こんな人に響きます
「そろそろ“自分は一人前”と言えるようになりたい」──
そんな思いを抱えるエンジニアにこそ、この本は刺さります。
- 技術は身についてきたけれど、プロとしての判断軸に迷いがある
- チームでの立ち位置が変わり、振る舞いに責任を感じるようになってきた
- タスクを“こなす”だけではなく、“信頼される仕事”がしたい
この本は、“Clean Code”で有名なロバート・C・マーチン(通称:ボブおじさん)が語る、プロフェッショナル・エンジニアとはどうあるべきかを説いた一冊。コードの書き方ではなく、仕事との向き合い方を問いかけてきます。
本書のエッセンス──プロとしての行動基準
- 「NO」と言える勇気が信頼を生む 無理な納期や仕様に対し、誠実に「できません」と伝えるのもプロの責任。
- TDDは単なる技術ではなく、“約束”を守るための習慣 テストを書くのは品質のためであり、何より“自分を守るため”。
- 見積もりは交渉材料ではない。誠実な約束だ 納期を守る覚悟があるか? 「見積もり=信用」であるという意識を持て。
- 読めるコードを書くのは、他人への敬意 読みやすさは“利便性”ではなく“礼儀”。メンテナンス性を最優先にする。
- 燃え尽き症候群を防ぐのも、プロの自己管理 徹夜での対応より、継続可能な働き方のほうが信頼される。
読んで響いたところ──「断る勇気」が、キャリアを変える
私が最も衝撃を受けたのは、「NO」と言うことが“プロフェッショナルの証”だという考え方でした。
SESという立場では、相手先からの期待に応えたい気持ちが先行し、「できます」と即答してしまいがちです。でも、それが後々のトラブルの種になることも少なくありません。
本書では、「誠実に“できない”と伝えることが、長期的な信頼を生む」と繰り返し語られます。これは現場で仕事をするすべてのエンジニアにとっての“原点”になる考え方ではないでしょうか。
また、TDDについても、効率化や品質向上のためだけではなく、“自分が責任を持って書いたコードに自信を持つため”という視点にハッとさせられました。
この本は、こんなタイプにおすすめ
- 実務歴2〜6年目のエンジニア → 技術と行動のバランス感覚を養いたい方に
- SESなど客先常駐での判断に迷いがちな人 → 何を引き受け、何を断るかの軸が明確になる
- 初めてのリーダー経験を控えた人 → 周囲に模範を示す「背中の美しさ」を学べる
- タスクはこなせるが、信頼されている実感が持てない人 → 本質的なプロ意識を身につけるチャンス
読み終えて得られたもの──「プロとしての背筋」が伸びる
技術書は数あれど、「どう働くべきか」をここまで明確に突きつけてくる本は珍しいと思います。
この本は、スキルを磨くための指南書ではなく、“信用される人間になるためのマニュアル”です。
読後、自然と日々の立ち居振る舞いを見直すようになりました。
「これは約束を守っているか?」「この対応は誠実か?」と、自問する癖がついたのです。
エンジニアとしてのスキルアップに限界を感じている方には、間違いなく視野を広げてくれる一冊です。