コードを書く前に、プロとしての「覚悟」はあるか

『Clean Coder プロフェッショナルプログラマへの道』を読んで

この本は、こんな人に響きます

「そろそろ“自分は一人前”と言えるようになりたい」──

そんな思いを抱えるエンジニアにこそ、この本は刺さります。

  • 技術は身についてきたけれど、プロとしての判断軸に迷いがある
  • チームでの立ち位置が変わり、振る舞いに責任を感じるようになってきた
  • タスクを“こなす”だけではなく、“信頼される仕事”がしたい

この本は、“Clean Code”で有名なロバート・C・マーチン(通称:ボブおじさん)が語る、プロフェッショナル・エンジニアとはどうあるべきかを説いた一冊。コードの書き方ではなく、仕事との向き合い方を問いかけてきます。


本書のエッセンス──プロとしての行動基準

  1. 「NO」と言える勇気が信頼を生む  無理な納期や仕様に対し、誠実に「できません」と伝えるのもプロの責任。
  2. TDDは単なる技術ではなく、“約束”を守るための習慣  テストを書くのは品質のためであり、何より“自分を守るため”。
  3. 見積もりは交渉材料ではない。誠実な約束だ  納期を守る覚悟があるか? 「見積もり=信用」であるという意識を持て。
  4. 読めるコードを書くのは、他人への敬意  読みやすさは“利便性”ではなく“礼儀”。メンテナンス性を最優先にする。
  5. 燃え尽き症候群を防ぐのも、プロの自己管理  徹夜での対応より、継続可能な働き方のほうが信頼される。

読んで響いたところ──「断る勇気」が、キャリアを変える

私が最も衝撃を受けたのは、「NO」と言うことが“プロフェッショナルの証”だという考え方でした。

SESという立場では、相手先からの期待に応えたい気持ちが先行し、「できます」と即答してしまいがちです。でも、それが後々のトラブルの種になることも少なくありません。

本書では、「誠実に“できない”と伝えることが、長期的な信頼を生む」と繰り返し語られます。これは現場で仕事をするすべてのエンジニアにとっての“原点”になる考え方ではないでしょうか。

また、TDDについても、効率化や品質向上のためだけではなく、“自分が責任を持って書いたコードに自信を持つため”という視点にハッとさせられました。


この本は、こんなタイプにおすすめ

  • 実務歴2〜6年目のエンジニア  → 技術と行動のバランス感覚を養いたい方に
  • SESなど客先常駐での判断に迷いがちな人  → 何を引き受け、何を断るかの軸が明確になる
  • 初めてのリーダー経験を控えた人  → 周囲に模範を示す「背中の美しさ」を学べる
  • タスクはこなせるが、信頼されている実感が持てない人  → 本質的なプロ意識を身につけるチャンス

読み終えて得られたもの──「プロとしての背筋」が伸びる

技術書は数あれど、「どう働くべきか」をここまで明確に突きつけてくる本は珍しいと思います。

この本は、スキルを磨くための指南書ではなく、“信用される人間になるためのマニュアル”です。

読後、自然と日々の立ち居振る舞いを見直すようになりました。

「これは約束を守っているか?」「この対応は誠実か?」と、自問する癖がついたのです。

エンジニアとしてのスキルアップに限界を感じている方には、間違いなく視野を広げてくれる一冊です。


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