バグをゼロに近づける“思考と習慣”をインストールせよ──品質と速度を両立させる開発の作法

本記事で取り上げる書籍

本記事で取り上げる書籍は 『ZERO BUGS シリコンバレープログラマの教え』 です。

  • 書名:ZERO BUGS シリコンバレープログラマの教え
  • 著者:ケイト・トンプソン(Kate Thompson)
  • 出版社:日経BP社
  • 出版年:2017年
  • ISBN:978‑4822298894

導入:品質とスピードはトレードオフではない

「バグは開発の副作用だからゼロにはならない」

「リリースを急げば品質は下がる」

──そう思い込んでいませんか?

シリコンバレーで大規模サービスの開発を手掛けてきた著者ケイト・トンプソンは、

**“バグゼロを目標にしながら開発速度も落とさない”**という、一見矛盾するゴールを実現してきました。

本書はその“再現可能な方法論”を体系化したガイドです。

読了後には、コードベースと開発フローを同時にスキルアップさせる具体的なロードマップが手に入ります。


要点まとめ:ゼロバグ開発を実現する5つの原則

  1. バグは「発生」を抑えるより「流入」を遮断せよ コードの“汚染経路”を断つチェックリストを導入し、レビューと静的解析で水際ブロック。
  2. テストは手動から“自動+即時”へ ユニット→統合→E2EをCIで全自動化。失敗を即通知して“バグが育つ時間”をゼロに。
  3. リファクタリングは“毎日の小掃除” 大改修より日々のクリーンアップ—“技術負債の雪だるま化”を防ぎ開発スピードを維持。
  4. 障害対応もコードで自動化する 障害シナリオをコード化し、回復テストをパイプラインに常設。“運用が最良のドキュメント”。
  5. 開発カルチャー全体で品質を育てる KPIを“バグ件数”から“デプロイあたり復旧時間”へ。行動評価とセットでチームをドライブ。

印象に残ったポイント:バグ報告ゼロより“デグレゼロ”の発想

SESとして複数案件を渡り歩く私は「新機能と改修が衝突してバグ再発」という事態を何度も経験しました。

本書が提唱するのは「バグ報告を減らす」よりも “同じ欠陥の再侵入を防ぐ回路” を作ること。

たとえば失敗テストを残したままコミットを禁止するフローは、CI ツールで簡単に実装できます。

以来、私は“バグゼロ”を“デグレゼロ+修正時間最短化”と定義し直し、

現場のスキルアップと開発速度の両立に成功しました。


誰におすすめか

  • 品質と納期の板ばさみに悩む Web/アプリ開発エンジニア
  • テスト自動化を導入したいが、どこから手を付けるか迷うリーダー
  • 技術負債が膨らみ開発が遅延気味のスタートアップ CTO
  • クラウド時代の運用を“コードで回復”させたい SRE/DevOps 担当
  • プログラミング教育で“バグを恐れない思考”を身につけさせたい保護者・中高生

まとめ:ゼロバグ文化は“書く人”より“仕組み”が創る

『ZERO BUGS』は「優秀な個人」より “仕組みと習慣が優秀さを量産する” ことを教えてくれます。

チェックリスト、CI/CD、リファクタリングルール、障害テストの自動化──

これらを日常化すれば、チーム全員が自然とスキルアップし、

バグ密度は指数関数的に下がっていきます。

品質向上と開発スピードの両立は夢物語ではありません。

再現性あるプロセスをインストールし、あなたのプロジェクトも“ゼロバグカルチャー”に変革しましょう。


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