本記事で取り上げる書籍
本記事で取り上げる書籍は 『ほんとうの定年後 「小さな仕事」が日本社会を救う』 です。
- 書名:ほんとうの定年後 「小さな仕事」が日本社会を救う
- 著者:坂本 貴志
- 出版社:講談社(講談社現代新書2671)
- 出版年:2022年8月18日
- ISBN:978‑4065286050
導入:人生100年時代、“仕事ロス”にどう備えるか?
多くの会社員は「65歳を過ぎたら悠々自適」と思い描きます。ところが実際には、
- 年金だけでは生活費が足りない
- 社会から切り離されスキルアップの機会が激減する
- 孤立や健康悪化のリスクが高まる
という“定年後ギャップ”に直面します。著者の坂本氏は、こうした課題を解く鍵が**「小さな仕事」**――週に数日・数時間だけ働く柔軟な就労形態――にあると説きます。
本書は、再就職・副業・地域ビジネスなど「小さな仕事」を通じて、本人・企業・地域そして日本経済を活性化させるロードマップを提示しており、私自身のキャリアと資産形成の視野を一気に広げてくれました。
要点まとめ:社会を動かす“小さな仕事”5つの効用
- 生活費と生きがいを同時に確保 週10〜20時間の就労が家計を補い、社会参加で心身の健康を保つ。
- 人的資本の再活用で企業を下支え 熟練シニアが“即戦力”として人手不足を解消し、生産性向上に寄与。
- 地域コミュニティを強化する循環経済 地元NPO・商店・学校での就労が地域内経済を回し、世代間交流を生む。
- 税・社会保障コストを抑制 就労による納税と医療介護費の削減が財政の持続可能性を高める。
- “学び直し”を促し、シニアのスキルアップ加速 リスキリング支援と組み合わせることで高齢期も成長曲線を維持。
印象に残ったポイント:SE視点で考える“第二のプロジェクト”
システムエンジニアとして働く私は「プロジェクト期限=人生の節目」と捉えがちでした。
本書は「定年後こそ新規プロジェクトの始まり」という発想転換を迫ります。
- 業務ロジックの単純化スキルは、自治体のデジタル化支援で即戦力になる
- リモートワーク環境構築ノウハウは、地方の小規模事業者を救う
- ブログや講座販売での発信経験は、シニア世代のリスキリング教材に直結
と気づき、自分の技術が「小さな仕事」に転換可能だと確信しました。さらに、「週15時間×複数案件」の収入シミュレーションを行ったところ、年金+αのキャッシュフローが見込みより大きく、スキルアップのモチベーションも維持できると判明。小さな仕事は、個人の生涯戦略と日本経済の双方を支える実装可能なソリューションだと腑に落ちました。
誰におすすめか
- 50代以降でセカンドキャリアを計画中の会社員・公務員
- 高齢者活用を模索する経営者・人事担当者
- 地域創生・社会保障に関心のある政策立案者・NPO関係者
- 親世代の働き方を学びたい中高生・大学生とその保護者
- ライフシフトをテーマに副業・リスキリングを検討中の20〜40代
まとめ:小さな仕事が積み上げる“大きな未来”
『ほんとうの定年後』は、退職後の人生を“余暇”ではなく“価値創出”と再定義します。
個々人が地域と緩やかにつながり、社会課題を解く“小さな仕事”を続けることで――
- 生活基盤を守り
- 健康寿命を伸ばし
- 経済を底上げし
- 次世代へ知見を継承する
という四重のメリットが生まれます。
定年後を「終わり」ではなく「もう一度スキルを社会に還元する時期」と捉え直し、私たち自身と日本社会の両方をアップデートしていきましょう。